いろいろな八王子らーめん

王子らーめんの間口は広い。(そのため「八王子系らーめん」と系を付けて呼ばれることもありますが、ここでは統一するため「八王子らーめん」と呼びます。)
そこで八王子らーめんを定義することにする。まず、八麺会で同じように定義しているので、それを紹介します。

八王子ラーメン3つの定義 by八麺会

  • 第一に、醤油ベースのタレである。
  • 第二に、表面を油が覆っている。
  • 第三に、《きざみ玉ねぎ》を具として用いる。

これについて基本的に異論はない。しかし、一番の特徴といってよい刻み玉ねぎを三番目に持って来てと表現しているのには違和感がある。
つまり、具と表現するとトッピングとして玉ねぎが存在するのか、ネギラーメンは玉ねぎラーメンなのかという疑問がでてくるので、
ここでは、薬味の青ネギの代わりに《刻み玉ねぎ》を用いる。と修正したい。

八王子らーめん店にも裏メニューとしてトッピングが存在したり、味幸のように別名として「薬味ラーメン」が存在したりする。

しかし、このように修正したところで、千葉の竹岡式らーめんがこの3つを踏破しているので、八王子らーめんになってしまう。
そこで、第四として、スープは東京らーめんと同様のあっさり和風ダシ(豚ガラ、鶏ガラ、鰹、昆布等)である。
このスープについて言及するのは、スープの違いがそのものが店固有のものであり、(個人的にそれを食べ比べるのが食べ歩く理由でもあるので)定義したくないが、竹岡式と区別するために追加したい。

竹岡式のスープは非常に簡素でチャーシューの煮汁をお湯で割ったものであり、麺は乾麺を使用。

それでは、改めて八王子らーめんを定義します。

八王子らーめん4つの定義 by kano

  • 第一に、薬味の青ねぎの代わりに《きざみ玉ねぎ》を用いる。
  • 第二に、醤油ベースのタレである。
  • 第三に、表面を油が覆っている。
  • 第四に、スープは東京らーめんと同様あっさり和風ダシである。

もうひとつの定義

度は、WEBサイト「らーめんだいすき。」のラーメン用語辞典「麺辞苑」からの定義を紹介します。

八王子ラーメン(はちおうじらーめん)
特徴としては、なんといっても具の刻みタマネギである。これを使っているかどうかが、八王子系の分かれ道ともいえる。しかしスープの材料は各店様々で、豚骨、野菜、鯖節、鰹節、昆布などからダシを採った醤油味。同じ系統でここまでバラバラなのも珍しい。つまり、これらは「刻みタマネギ」というキーワードで結びついているのである。スープにはラードを浮かしている。麺はやや縮れた中太麺。また、八王子系の多くが店内にいくつものカレンダーを掲示しているというのも、ラーメンには関係ないが大きな特徴である。

【無敵のラーメン論 大崎裕史 2002年 講談社現代新書】

東京ラーメン(とうきょうらーめん)
古くから「東京ラーメン」というのは間違いなく存在していた。それらはあっさりとした醤油味に細めの縮れ麺、シンプルな具で構成される。スープは煮干や昆布など海産物系が使われ、弱火で煮出した透明感のあるスープが特徴である。

【無敵のラーメン論 大崎裕史 2002年 講談社現代新書】cf.荻窪ラーメン

追加定義

誌「東京生活」の八王子の底力という特集の中で「汗をかいても食べたい八王子ご当地ラーメン」というページで八王子ラーメンの定義をしているので紹介します。

八王子ラーメンの定義

八王子ラーメンは3つの要素で成り立っている。表面を覆う油、濃い口の醤油、そしてたっぷりの刻みタマネギである。タマネギの辛さを抑え、うまみを引き出すポイントになる油に醤油ダレを合わせ、たっぷりのタマネギをのせれば、ご当地ラーメンの完成です。

なお、紹介されている店は、南京ラーメン総本家「星の家」「みんみんラーメン」「えびす丸」つけめん・支那そば「一陽来福」です。
また、この特集で特筆されるのは、大きならーめん画像で刻みタマネギの考察が深い点です。大きめみじん切り,極小みじん切り,角みじん切り,スライスとタイプを分けさらにその混合型かまで分類している。

ゆとりある東京暮らし「東京生活」2006 July no.13

正統八王子らーめん

こまでの定義では、広い意味(広義)で八王子らーめんを定義してきました。八王子らーめんの源流と言おうか正統となる八王子らーめんもあったはずです。実際、今も健在です。
そこで狭義としての正統八王子らーめんを定義しようと思います。

正統八王子らーめん4つの定義 by kano

  • 第一に、当然4つの八王子らーめんの定義に当てはまる。
  • 第二に、尾張屋麺を使用している。
  • 第三に、具の構成はチャーシュー(バラ,肩ロース,煮豚,叉焼)、メンマ、海苔、刻み玉ねぎのみである。
  • 第四に、スープは濃い醤油色で味は微かに甘みあり、丼に麺が見えなくなるまで、なみなみと注がれる。

※バラチャーシュー(煮豚)と限定していたが、そうでもないので変更します。(2007.04.04)

また、この正統八王子らーめんを出す専門店の特筆すべき特徴として、以下の2点を挙げときます。

  • 営業時間が短い
  • 値段が安い(平均500円)

私の知っている店としては、中華そば専門「みんみん」、八王子らーめん「麺麺おがわ屋」が代表格です。


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